新型コロナワクチン接種3回目に思うこと… 2022.1.6
いよいよ新型コロナワクチン接種3回目が始まります。柏市保健所の説明では高齢者を中心に1月から順次接種券の発送が始まるようです。
3回目のワクチンはファイザー社製と武田/モデルナ社製の2種類が薬事承認され、武田/モデルナ社製ワクチン(スパイクバックス筋注と名称が変更)は1回あたりの投与量はこれまでの半分の0.25mlになります。
政府(厚生労働省)は3回目のワクチンを推奨していますが、これとは裏腹に医師会での説明会では市町村へのファイザーワクチンの供給量が少ないようです。
- なぜ3回目の接種が必要なのか?
新型コロナワクチンは当初、90%以上の高い予防効果を保っていましたが徐々にその効果が落ちてきていることがわかってきました。中和抗体が徐々に低下していることに加えて伝播性の強いデルタ株、デルタ株よりさらに伝播性の高いオミクロン株の流行で、ワクチン接種をしているのにもかかわらず感染してしまうブレイクスルー感染も増えてきています。
感染予防効果には中和抗体が関与していますが、重症化予防効果には中和抗体だけではなくTリンパ球などの細胞性免疫の働きが大きく関わっています。しかしながら高齢者では接種完了から半年以降で重症例が増えてきた報告もあり、厚生労働省の審議会で追加接種を実施することになりました。
- 3回目の接種の効果は?
イスラエルで実施されたファイザー製ワクチンの接種後の情報を集めた研究では、追加接種した場合の入院予防効果は93%、死亡に対する予防効果は81%でした。さらに60歳以上で追加接種を受けた場合には、追加接種を受けなかった場合と比較して感染予防効果は11.3倍、重症化予防効果は19.5倍高くなったと報告されています。
また、追加接種について1・2回目と異なるワクチンを接種する「交互接種」が注目されています。米国の研究調査では図のごとく1・2回目にファイザー製を接種した人では追加接種前と比較した15日後の中和抗体価は3回目がファイザー製では20.0倍、モデルナ社製だと31.7倍でした。一方、1・2回目がモデルナ社製を接種した人では3回目がモデルナ社製では10.2倍、ファイザー社製だと11.5倍でした。アストラゼネカ社製ワクチンを使用している英国の報告でも同様な結果でした。すなわちワクチンの組み合わせによって中和抗体価が異なっているのです。
オミクロン株に対するワクチンの追加接種の効果についてモデルナ社はモデルナ社製を1・2回目の半量を追加接種することで、2回目接種よりも中和抗体価が37倍と報告しています。またファイザー社もファイザー社製を追加接種すれば2回目接種時よりも中和抗体価が25倍に増加したと発表しています。
- 3回目接種の副反応について
図のごとくファイザー社製ワクチン、モデルナ社製ワクチンともに3回目接種の有害事象は2回目の接種後と比較して概ね同等であると確認されています。また、交互接種を伴う追加接種の副反応も1・2回目で報告された副反応と同程度であったと報告されています。
- そして思うこと、考えていること
多くのかたが一日でも早く3回目の接種を希望していますが、ファイザー社製ワクチンの供給量が少ないことを思うと、モデルナ社製ワクチンが開業医にも供給されるのであれば積極的に利用するべきであろうと思います。
また1回目よりも2回目のワクチン接種後に、高齢者よりも思春期や若年成人に、女性より男性により多くの心筋炎や心膜炎が報告されています。軽症であることが多く、ワクチン接種のメリットのほうが大きいと思いますが、その方々たちにファイザー社製ワクチンを優先してあげるべきであろうと考えます。
そこで当院では、ファイザー社製ワクチン接種との誤接種を防ぐために土曜日の午後に限定して、2回/月ぐらいのペースで40~60人/回のモデルナ社製ワクチン接種の機会を考えています。
この原稿を書いている時点では詳細は不明ですが、ファイザー社製ワクチンが予想通り少なく、モデルナ社製ワクチンが開業医にも供給されるのであれば、このような方法で対応したいと思っています。
方針が決まりましたら当院のホームページに掲載しますのでご連絡ください。1回目・2回目と同様に電話での予約を行います。よろしくお願いします。